Dose to water / Dose to midiumについて
1.1 高エネルギーX線の相互作用
・間接電離放射線
・物質に直接エネルギーを付与することは無い
・X線と物質との相互作用によって発生する二次電子によりエネルギーが付与される
1.2 吸収線量の定義とコンプトン効果
X線における吸収線量とは??
相互作用によって発生した二次電子が物質内で与えたエネルギー
体内での吸収線量を計算できる2つのパラメーター
・相互作用の数 → 線減弱係数
・二次電子が物質に与えたエネルギー → 線衝突阻止能
1.3 線減弱係数と線衝突阻止能
2 線量アルゴリズムによって異なる吸収線量 (Dw, Dm)
Pencil Beam Convolution(PBC)、Superpositin(SP), Anisotropic Analytical Algorithm(AAA) (Dose to water)
・水の"線減弱係数"と"線衝突阻止能"を用いる
・水の吸収線量を計算
◎人体の70-80%が水分で構成されており、骨を除いて体内物質の組成が水とほぼ同じであることが理由
Mnte Carlo, Boltzmann Transport (Dose to medium)
・体内物質の"線減弱係数"と"線衝突阻止能"を用いる
・物質の吸収線量を計算
3 Dose to waterを計算するためのアルゴリズム
・TERMAとKernelという一次線と散乱線のエネルギー分布の広がりを表した関数を用いて線量分布を計算する。
PBC, SP, AAAに用いるTERMAとKernelは計測によって求めることができない
↓
MC法により水中での粒子の挙動をシミュレーションすることで得られたデータを利用している。つまり、水とは質量密度が大きく異なる骨や肺にも水のTERMAとKernelが使用される。
↓
”不均質補正が必要”
↓
コンプトン効果の発生確率(線減弱係数) ∝ 物質の電子濃度
↓
相対電子濃度を補正係数として物質の線減弱係数(相互作用の数)を求める
↓
すなわち、水の相対値として物質のTERMAを求めている
一方、Kernelはどのように求めるの?
・密度尺度理論を用いて物質内の電子飛程を補正している
・PBC:TERMAのみ
・SP,AAA:TERMA+Kernelまで補正
水から体内物質のTERMAとKernelに変換するためには?
・各物質の相対電子密度が必要 → CT値ー相対電子濃度変換テーブルを登録
4 Dose to mediumを計算するためのアルゴリズム
・MCは乱数サンプリング技術を用いて粒子と物質が起こす相互作用を計算することができる。
・MC,BTEは物質の吸収線量を直接計算することができる。
↓
物質の線減弱係数、線衝突阻止能が必要。
↓
物質の質量密度、構成元素の種類、重量比から算出
・MC,BTEではCT値を質量密度に変換し、質量密度の値から物質を割り当てる作業が行われている。
線量計算精度
線量計算アルゴリズムの種類だけでなく、CT値の精度にも依存する。
5 ポイント
PBC, SP, AAA
TERMAとKernelは計測によって求めることはできない。MC法により水中での粒子の挙動をシミュレーションすることで得られたデータを利用している。つまり、水とは質量密度が大きく異なる骨や肺にも水のTERMAとKernelが使用される。そのため、不均質補正が必要となる。水の相対値としてTERMAを求め、密度尺度理論を用いて物質内の電子飛程を補正している。
CT値ー相対電子濃度変換テーブル
MC,BTE
MC,BTEは物質の吸収線量を直接計算することができる。物質の線減弱係数、線衝突阻止能が必要。
CT値を質量密度に変換し、質量密度の値から物質を割り当てる